次々と新しいダイエット方法が現れる中、ここ数年で最も注目されているダイエット方法の一つがGLP-1ダイエットです。
ダイエット挫折の二大要因とも言える厳しい食事制限も習慣的な運動も必要ないというのが最大の特徴で、これまでダイエットに失敗したことがある方にこそ向いているダイエット法だと言えます。
当記事では、そんなGLP-1ダイエットの正しいやり方や使用されるお薬、注意点などについて徹底的に解説していきます。
次こそは絶対に失敗しないダイエットをしたい、という方はぜひ参考にしてみてください。
1.GLP-1ダイエットとは?
GLP-1ダイエットとは、GLP-1受容体作動薬という医薬品を用いたメディカルダイエットの一つです。
GLP-1受容体作動薬には、GLP-1(Glicagon-Likepeptide-1)という有効成分が含まれています。GLP-1の持つダイエット作用は、主に次の3つです。
脳に働きかけ食欲を抑制する
胃の動きを鈍らせ消化を遅らせる
インスリンの分泌を促し血糖値の上昇を抑える
GLP-1の作用により「食べたい」という気持ちが自然に抑えられ、摂取カロリーが減ることで体重の減少が期待できます。また胃に食物が長く留まるため、空腹感を感じにくくなる効果もあります。
さらにGLP-1は、血液中の糖を細胞に取り込みエネルギーに換える働きを持つインスリンの分泌を促進して、血糖値が正常に保たれるのを助けます。
このようにGLP-1ダイエットは、これまでダイエットで必要とされてきた我慢や強い意志、健康的な習慣の継続などを一切必要としない画期的なダイエット方法です。
2.GLP-1ダイエットに向いているのはどんな人?
GLP-1ダイエットは、次のような方に向いているダイエットです。
意志が弱く甘いものがやめられない
運動が苦手
やせてもすぐリバウンドしてしまう
GLP-1ダイエット最大の特徴が、ストイックな食事制限や激しい運動を必要としないという点になります。GLP-1受容体作動薬の作用により自然と「食べたい」という欲求が消え、意識しなくても摂取カロリーが減少していきます。
カロリーコントロールや運動習慣が続かず、途中でドカ食いしてしまった結果リバウンドしてしまう、というようなダイエットを何度も繰り返してきた方には最適のダイエット方法だと言えるでしょう。
3.GLP-1ダイエットに使われる薬は全部で4種類
現在日本国内で処方されているGLP-1受容体作動薬の主なものは、次に挙げる4種類です。
それぞれの特徴や長所について、一つずつ詳しく見ていきましょう。
3-1.サクセンダ(注射タイプ)
サクセンダはノバルティスファーマ社が製造する肥満症の治療薬で、リラグルチドという有効成分を含んでいます。一日一回、毎日決まった時間に注射することが必要です。
サクセンダはアメリカをはじめ、EU諸国や韓国において抗肥満薬として承認されています。実績のある治療薬で確実にダイエットしたいという方におすすめです。
3-2.ビクトーザ(注射タイプ)
ビクトーザもサクセンダ同様リラグルチドを有効成分とし一日一回注射するGLP-1受容体作動薬ですが、適応症が肥満症ではなくⅡ型糖尿病となっています。
ビクトーザの用量目盛りは0.3mgとなっており、有効成分は同じながらもサクセンダと比べてより細かく用量の調節が可能です。
ビクトーザは、最初は低用量からGLP-1ダイエットを始めたい方におすすめのGLP-1受容体作動薬だと言えます。
3-3.オゼンピック(注射タイプ)
オゼンピックは、セマグルチドを有効成分とする注射タイプのGLP-1受容体作動薬で、適応症はⅡ型糖尿病です。
最大の特徴は投与が週一回だけでよいという点で、従来の注射製剤に比べ治療の手間を大幅に省くことができます。
毎日の投薬管理が面倒くさいという方にとっては、GLP-1ダイエットの中で最も投薬の頻度を少なくできるというメリットがあります。
3-4.リベルサス(内服タイプ)
リベルサスは日本では2020年に承認されたばかりの新しいお薬で、世界初の内服型GLP-1受容体作動薬です。
用量には3mg、7mg、14mgの三種類があり、毎日食後以外の決まった時間に服用します。
リベルサスは自分で注射することに抵抗があるという方や、サプリを飲むのと同じ感覚で気軽にメディカルダイエットを行いたい方にぴったりのGLP-1受容体作動薬です。
4.GLP-1受容体作動薬に副作用はある?
GLP-1受容体作動薬の主な副作用としては、次のようなものが挙げられます。
・吐き気
・下痢
・腹部不快感
・便秘など
GLP-1受容体作動薬を服用することで起こり得る副作用は、これらの消化器系症状が中心です。これは、GLP-1受容体作動薬が消化を遅らせ胃の内容物が長くとどまるように作用することによって起こります。
これらの消化器系症状は通常2~3週間でおさまっていきますが、冷や汗や動悸、長引く腹痛は低血糖や急性膵炎の前兆症状である可能性があります。一か月以上腹痛がおさまらない時や身体の異常を感じた時は、すみやかに医師の診察を受けるようにしましょう。
5.GLP-1ダイエットを行う時の注意点
GLP-1ダイエットを行う際の注意点は、次の3つです。
GLP-1受容体作動薬は医師の診察を受けた上で処方してもらう
自己判断で安易に用量を増やさない
元々BMIが低い人はやせにくいということを念頭に置く
リベルサスやオゼンピックなどのGLP-1受容体作動薬は、個人輸入代行を利用して購入することも可能です。しかし、それぞれのGLP-1受容体作動薬には異なる用量のものが何種類か存在し、肥満の程度や体質によって適切な用量は変わります。医師の診察を受けた上で、自分に合った用量のものを処方してもらうようにしましょう。
同様の理由により、安易な用量の増加は深刻な副作用症状につながりかねません。GLP-1ダイエットの効果が実感できない場合も、用量や生活習慣に関して医師に相談するようにしましょう。
また抗肥満薬として海外で承認されているサクセンダでも、BMI(体重(kg)÷身長(m)の二乗)が30以上の肥満症の人が処方の対象となっています。元のBMIが20以下など、やせ型の人はGLP-1ダイエットの効果が現れにくいのが普通です。
6.GLP-1ダイエットでより効果的にやせるためのポイント
GLP-1ダイエットは、意思の弱い人でも成功しやすいという特徴を持ったダイエット方法ではありますが、より効率よくやせるためには3つのポイントがあります。
6-1.適度な有酸素運動と組み合わせる
GLP-1ダイエットでは、ランニングや激しい筋トレなど強度の高い運動は必要ありませんが、軽めの有酸素運動を習慣的に続けることでより効果的にやせることが可能です。
GLP-1受容体作動薬の作用により食欲が抑えられ、さらに適度な有酸素運動によって脂肪の燃焼が促進されるとスムーズな体重の減少が期待できます。
6-2.厳しい食事制限は不要だがバランスよい食事を規則正しく
GLP-1受容体作動薬の主な作用は、過剰な食欲を抑えるという点にあります。それ自体で脂肪燃焼作用を持っているわけではありません。
そのため、GLP-1受容体作動薬を服用していればいくらでも食べていいというわけではなく、健康的な食事を規則正しい時間に摂ることも効果的なダイエットのため非常に重要だと言えます。
ただ通常はGLP-1受容体作動薬を服用すると、自然と食欲が抑えられることがほとんどです。
6-3.最低二週間~1か月は継続する
GLP-1ダイエットは、開始してから早ければ二週間程、通常は1ヶ月程度で効果が出始めるとされています。そのため、すぐにダイエット効果が現れないからといって急に用量を増やしたりせず、最低1ヶ月程度は用量を維持して経過を観察するようにしましょう。
また、ダイエットによって1ヶ月の間に減量しても問題ないのは、体重の5%までです。それを超える減量は、身体が生命維持のため元に戻ろうとしてリバウンドしやすくなるとされています。
7.まとめ
GLP-1ダイエットは、ストイックに食事を制限することもハードな運動も必要ない新しいタイプのダイエット方法です。
これまで色んなダイエットで思うように痩せられなかったという方や、ダイエットしてもいつもリバウンドしてしまうという方でも、ストレスを感じることなくやせることができます。
一方で医薬品を用いたダイエットである以上、医師の診察に基づいて適切な用法用量を守ることが非常に重要です。
GLP-1ダイエットは、元の体重や体質、目標体重などに合わせて、正しい方法で行うようにしましょう。
提供:クリニックフォア